メイヘム101

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映画「ランボー ラスト・ブラッド」の感想

※本当はこの感想は6月に書こうと思っていたが、暑い中マスクした状態で毎日労働していたら気力がなくなり、いつのまにか9月になってしまった。 

 

 先日(6月)、3、4ヶ月振りに映画館に行ってきた。営業再開しているとはいえ、観たい映画や大作映画は軒並み公開延期しているのでそんなに観たい映画も今はない。それ以上にマスクしたまま、二時間も映画を観るのは正直しんどい。だけど、今回観た「ランボー ラスト・ブラッド」は別物というか、スタローンは別腹だ。重い足取りも軽くなる。

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 あらすじは前作「ランボー最後の戦場」のラストで実家に帰ったランボーさんが農場を継ぎながら、遭難した人を助けたり同居人の孫娘ガブリエラを自分の子供のように可愛がったりと、普通の生活を送っていたが、やっぱり過去の記憶に苛まれていた。そして、ガブリエラは自分を捨てた父親に会いにメキシコに向かうが、人身売買組織に拉致されてしまう。

 正直、予告を見た時点でランボーに絡んだメキシコヤクザがどういう目に遭うかは分かるし、プロットも『コマンドー』にある通り、「何度も見たよ」と言いたくなるものだが、描写としてギョッとするものがあった。

 それはこの映画を観た人なら誰もが語りたくなる『ランボートンネル』のことだ。前作『ランボー 最後の戦場』のラストでようやく実家に帰ったランボーは平穏な日々を手に入れていると勝手に思っていた。だが、そんなことはなく、彼は屋根の家で眠ることが出来ず、毎日地下で寝泊まりして、爆音でドアーズをかけながら延々と掘り進めたトンネルをチェックしている。その度に昔の仲間の声が延々と聞こえてくる、というのが映画の冒頭に来る。要するに「何も終わっちゃいません!」という話だ

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 この『トンネル』の描写はかなり大仰ではあると思うが、描写としてかなり狂っていいて、面白くもある。それにこの場面があることで前作で終わった話なんじゃないの? という感情が観ている側は消える、要は当事者にとっては進行形の話であるということ。それでも他者(ガブリエラ)を受け入れようと努力しているのを台詞で説明しないのはさすがスタローンだと思う。

 そして、最後は彼の心の中を象徴する『トンネル』で怒りが爆発する、というのはシンプルだが、話は一貫していて分かりやすい。大爆発や大虐殺が描かれても、あれは家の敷地内だし、馬は怪我しないように逃すという配慮がされているので、気が利いてる。心がモヤっとした時にちょうどいい映画だ。