メイヘム101

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『ザ・スーサイド・スクワッド』の感想

 『ザ・スーサイド・スクワッド』は予告を見た時から、「コレ前にも見た!」という既視感が拭えなかった。『スパイダーマン』と『アメイジングスパイダーマン』だったり、やり直しの間隔が狭いと言えばここ数年の『ターミネーター』もそうだ。最近のバッグバジェットの超大作のサイクルが早すぎるとは言え、さすがに節操が無さ過ぎるんじゃ……とは正直思ったりもしている。特に毎回映画館に行く身としては。

 だけど、それでも観に行ってしまうのは今回の監督がジェームズ・ガンというところだろう。ディズニーにクビにされた直後に声をかけるワーナー側は狡猾な気もするが、でも同時におおらかな気もする。序盤のワーナープレゼンツのロゴが出るあたりとかディズニーだと絶対にやらせてくれなさそうだ。だが、それも最初から好きにやらせたというか前作の『スーサイド・スクワッド』の失敗もあるのだろうが、まぁそっちのほうが正解だと思う。『スターウォーズ』のスピンオフみたいに新規気鋭な監督を起用した割には安パイで無味無臭なものが完成したのを見ると特に。

 だけど、単に不謹慎グロなヘンテコ映画かと思えば、根底にはちゃんとヒーロー映画としての王道だし、泣けるところもある。特に終盤ブラッドスポートの行動をテレビで見ていた娘が「あ、お父さん」と言うところが泣ける。

 まぁ、悪党なのに全然悪い人じゃないじゃないか、という意見もわかるが、DCはよく考えるとバットマンも十分狂っているという感じなので、個人的にはあまり気にならない。キング・シャークは特に絶対自分がなんで刑務所に入ってるのかすらわかってなさそうで、そこもまたかわいい。キング・シャークが水の中で宇宙クラゲみたいなのに噛まれるシーンは本当に最高だ。普通の映画ならサメは噛みつく側なのに油断してまんまと噛まれてしまうのはポンコツすぎてかわいい。

 人が不謹慎に無駄にバタバタと死んだりするが、それは描写されてないがワイルドスピードも同じだと思うので、それを考えるとグロ描写が苦手という人以外には誰にでも薦められる映画だ。アクションは面白いし、笑えるし泣けるし、おまけにネズミやサメといった動物もかわいいし、いいところしかない。最高ではないか。